取材力 2021 2 14

書名 ファクトで読む米中新冷戦とアフター・コロナ
著者 近藤 大介  講談社現代新書

 この本を読んで感じたことは、
「久しぶりに本物の取材力を見た」ということです。
 日本のメディアは、海外情勢については、
往々にして、「翻訳メディア」、
つまり、外国のメディアのニュースを翻訳しているだけだと言われる場合があります。
 しかし、著者は、自分が納得するまで、現地を取材する、
つまり、納得する取材ができるまで滞在するというのは、すごいと思います。
 さて、私は、米中関係は、もはや不可逆なものになったかもしれないと思います。
日本人からすれば、「あり得ない」と思うでしょうが、
多くのアメリカ人は、「中国人が豊かになれば、やがて民主化される」と考えていたのです。
 それを知ってか、かつて、胡錦涛政権の温家宝首相は、
重要な会議が終わると、記者会見に応じて、民主化の必要性を説いていました。
 おそらく、アメリカだけでなく、世界も、これを「希望がある」と見たのでしょう。
しかし、日本人は、そうは思わなかったでしょう。
 アメリカ人は、中国で共産党革命が起こったことは、人民の勝利だと考えたのでしょうが、
日本人は、中国で「王朝の交代」が起こったと思ったでしょう。
 歴史を振り返れば、日本と中国の関係は、1000年以上あります。
日本人の感覚で言えば、「共産党革命と言っても、また王朝交代があった」と思うでしょう。
 しかも、いずれ中国の国力が戻れば、「冊封体制」を実施するだろうと思ったでしょう。
それは、歴史が証明しています。
このような冊封体制は、周辺国に対して、1000年以上も実施されています。
 アメリカ人は、物事を楽観的に考える傾向がありますが、
日本人は、歴史を運動法則や慣性の法則で考えます。
 もちろん、アメリカ人の考え方も間違いではなかったと思います。
企業が発展していけば、政治的自由を求めると考えるのも一理あります。
経済学からすれば、企業の発展と自由主義は、表裏一体のものかもしれません。
 著者が懸念するのは、
中国で生まれた優秀な民間企業が、国営化される可能性があるかもしれません。
 この本にあるように、中国にとっては、
バイデン氏よりもトランプ氏のほうがよかったかもしれません。
 そもそも、副大統領のバイデン氏と大統領のバイデン氏では、別人と考えるべきでしょう。
トランプ氏は、「アメリカファースト」によって、TPPを離脱しました。
 これは、中国から見れば、「アメリカの同盟関係には、足並みの乱れがある」と見えたでしょう。
バイデン氏は、まず同盟国の連携を強めてから、対中政策に取り掛かるでしょう。























































































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